As-Is/To-Be
概要
As-Is/To-Be とは、現在の状態(As-Is)と、理想とする将来の状態(To-Be)を明確に描き出すことで、その間に存在する 「 ギャップ 」 を浮き彫りにする手法である。単に問題を並べるのではなく、目指すべきゴールから逆算して解決すべき課題を構造化するために用いられる。
評価 (1–5)
- 適用性: 5
- 有効性: 5
- 複雑さ: 2
- 誤用のリスク: 3
評価コメント
極めてシンプルでありながら、問題解決のスタート地点として最も汎用性が高い。現状を直視する誠実さと、理想を描く構想力の両方が求められる。ただし、理想(To-Be)が低すぎると改善に留まり、現状(As-Is)の把握が甘いと空想的な計画に終わるリスクがある。
最初の問い
「 私たちは今どこに立っていて、本当はどこへ行きたいのか。そして、その間を阻んでいるものは何か? 」
目的
- 解決すべき 「 真の課題(ギャップ) 」 を特定し、リソースを集中させる。
- 関係者間での 「 ゴールの共通認識 」 を形成し、進むべき方向のズレをなくす。
- 現状の否定ではなく、理想への移行プロセスとして変革を動機づける。
質の低い問い
- 「とりあえず何を直せばいいだろうか?」(場当たり的な対応になり、根本解決に繋がらない)
- 「理想的なシステムはどんなものか?」(現状の制約や資産を無視すると、移行のリアリティが失われる)
- 「どうすればもっと良くなるか?」(比較対象が曖昧だと、成果の測定ができない)
使い方
- 現状(As-Is)を冷徹に分析する 数値データや事実に基づき、現在のプロセスやリソースをありのままに書き出す。
- 理想(To-Be)を具体的に定義する 制約を一旦脇に置き、達成したい目的やあるべき状態を描く。ここが SMART な目標になっていることが望ましい。
- ギャップを特定し、アクションを導き出す As-Is と To-Be の差分を埋めるために必要なステップをリストアップし、優先順位を付けて実行計画(ロードマップ)に落とし込む。
アウトプット例
- 業務プロセスの改善
- As-Is: 経費精算を紙で行い、承認に平均 5 日かかっている。
- To-Be: 全てデジタルで完結し、承認が 24 時間以内に終わる。
- ギャップ: クラウドシステムの導入と、捺印ルールの廃止。
- キャリア開発
- As-Is: 専門スキル A はあるが、マネジメント経験がない。
- To-Be: チームリーダーとして 5 人以上のプロジェクトを率いている。
- ギャップ: 社内公募への応募、または PM 資格の取得。
ユースケース
- ビジネス: IT システムの要件定義、組織再編、新規事業のロードマップ策定。
- 日常生活: 減量計画(現在の体重と目標体重)、家計の改善。
- 意思決定 / 思考: 迷いが生じた際、「今」と「なりたい自分」を比較して、取るべき行動を選択する。
典型的な誤用
- 現状分析の省略: To-Be だけを描いて満足し、現在の足元の課題や資産を無視した非現実的な計画を立てること。
- To-Be が As-Is の延長線: 過去の延長でしか未来を描けず、抜本的な変革(イノベーション)が起きないこと。
- ギャップの放置: 分析しただけで満足し、それを埋めるための具体的なアクションプランに繋げないこと。
他のモデルとの関係
- 補完的: ワークプランニング(特定されたギャップをタスクに分解する)、SWOT分析(現状分析のツールとして活用)
- 関連: バックキャスティング